「待っててください、事務室で担架を借りてきますから!」
お客様が倒れた時のため、事務室には担架が備え付けてある。事務室も人が出払っていたので一人で担架を運び出して戻ってみると、佐藤主任と柳井君も矢部さんを発見して大騒ぎになっていた。
「大丈夫だってば、あいたたた……」
「無理っスよ。その感じだと一週間は安静です」
「こんな時に休んでなんかいられねぇじゃんか。店が潰れるってのに。……いたた、痛いってば」
口だけは回復してきた矢部さんを、佐藤主任と柳井君が有無を言わせず担架に乗せる。クリスマスのメイン部門である精肉部から二人も抜ける訳にはいかないので、副店長が矢部さんを病院に連れて行くことになった。
「大丈夫だって! あんたらに任せてらんないよ。みんな廃店になりゃいいと思ってんだろ」
副店長が来てもなおも毒づく矢部さんに私も言い返した。
「この間も言いましたけど、そんなこと思ってません。信じなくていいから寝ていてください」
「アンタらに目標達成できっこないよ。まあそれでもいいさ、職探しすりゃいいんだから」
「そんな性格で新しい職なんて見つかりっこないですよ」
「アンタに言われたく……いたたた」
廊下に運び出された矢部さんの声がだんだん小さくなっていった。
矢部さんがいなくなると精肉部の部屋はシーンと音が聞こえるぐらい静かで空虚に感じられた。一年で一番忙しいクリスマスの業務中だというのに、残された三人はしばらく茫然と立ち尽くした。
お客様が倒れた時のため、事務室には担架が備え付けてある。事務室も人が出払っていたので一人で担架を運び出して戻ってみると、佐藤主任と柳井君も矢部さんを発見して大騒ぎになっていた。
「大丈夫だってば、あいたたた……」
「無理っスよ。その感じだと一週間は安静です」
「こんな時に休んでなんかいられねぇじゃんか。店が潰れるってのに。……いたた、痛いってば」
口だけは回復してきた矢部さんを、佐藤主任と柳井君が有無を言わせず担架に乗せる。クリスマスのメイン部門である精肉部から二人も抜ける訳にはいかないので、副店長が矢部さんを病院に連れて行くことになった。
「大丈夫だって! あんたらに任せてらんないよ。みんな廃店になりゃいいと思ってんだろ」
副店長が来てもなおも毒づく矢部さんに私も言い返した。
「この間も言いましたけど、そんなこと思ってません。信じなくていいから寝ていてください」
「アンタらに目標達成できっこないよ。まあそれでもいいさ、職探しすりゃいいんだから」
「そんな性格で新しい職なんて見つかりっこないですよ」
「アンタに言われたく……いたたた」
廊下に運び出された矢部さんの声がだんだん小さくなっていった。
矢部さんがいなくなると精肉部の部屋はシーンと音が聞こえるぐらい静かで空虚に感じられた。一年で一番忙しいクリスマスの業務中だというのに、残された三人はしばらく茫然と立ち尽くした。
