理想の結婚お断りします~干物女と溺愛男のラブバトル~

「試験の時さ、まさか家で練習してたの?」

「はい」

ばれていたのは恥ずかしいけど、陰で努力していることを褒めてくれるかな。
しかしそんな淡い期待を裏切り、矢部さんは呆れ顔で「ケッ」と鼻を鳴らした。

「普通は何回か練習すりゃできるんだけどね、あんなもん」

まったくもって感じが悪い。でもあの時私は聞いてしまった。

〝あの子、頑張った方だよ〟
〝はぁ⁉ 鶏団子をナメてんの?〟

口を開けば不愉快なことしか言わないけれど、誰かを素直に褒められないのは私も同じ。矢部さんもへそ曲がりな戦車なのだ。

「鶏団子はどうやって食べてんの? 一人じゃ鍋しねぇだろ」

「煮物にしてます」

「フン、芸がねぇな」

しかし持ち上げてもすぐこれだ。
早くこの昼休憩から脱出しようと咀嚼のペースを上げていると、矢部さんがぶっきらぼうな口調で言い足した。

「あのさ! 薄切りにしたレンコンに挟んでフライパンで焼いて、お醤油をちょっと垂らすと超うめーからやってみな」

「やってみます。ありがとうございます!」

「は、はっくしょい!」

意気込みを見せたけれど、間が悪く矢部さんの豪快なくしゃみと重なってしまった。