結局、その二日後に〝薬は飲みきりましたか?〟というもっと短いメッセージが届いたきりだ。至って事務的、無感情。

それでも私はその〝報告〟に自分でも呆れるほど時間をかけた。
出だしの挨拶を変えてみたり、彼に風邪がうつっていないか気遣う文言を消してみたり。
だってあの口移しを思い出させるよう仕向けてるみたいじゃない……。

でも短いながら丹念に推敲したメッセージに対する彼の反応は〝お大事に〟の一言だけだった。

そうだよね。やっぱりあれってキスのうちには入らないんだよ。何の意味もないんだよ。

でもあの日、普段なら玄関ドアの新聞口から投入されて土間に落ちているはずの朝刊が、リビングのテーブルの上に置いてあった。つまり彼は明け方まで私の部屋にいたということになる。

翌日は月曜日で、彼は出勤だ。にも拘わらず、高熱の私を心配して様子を見ていてくれたのだとしたら……。