あれから今日まで彼と会う機会はなかった。メモに書かれた〝確認します〟というのは電話ではなく、短いメッセージで果たされただけだった。

彼からそれが届くまで、私は彼が買ってくれたスポーツドリンクをちびちび飲みながらいろんなことを考えた。

あれはキスのうちに入るのだろうか?
それとも単なる医療行為?

医療行為だとしても、嫌いな相手にそんなことしないよね。あれだけ女嫌いって言われてるんだから、あんなこと気軽にはしないはず。
だったら少しでも私のことを思っていてくれないかな……無理かな。

膝を抱えて悶々としていると手の中のスマホが鳴り、心臓が口から飛び出そうになる。電話でないことにがっかりして、でも平日だから彼は仕事中だと思い直してメッセージを開く。
でも画面に表示されたのは何の甘さもない言葉だった。

〝熱を計って報告してください。今朝の薬は飲みましたか?〟

たったそれだけ。

「報告って……仕事みたい……」

いったい何分間、私はしょんぼりとそれを見つめていただろう。きっと彼は無表情に数秒でこれを打ったんだろうなと容易に想像がつくのに。