理想の結婚お断りします~干物女と溺愛男のラブバトル~

子供の頃は勉強ができる子よりスポーツが得意な子、内気な子より活発な子の方がもてはやされる。小学校時代の私は内気で、地味な服ばかりを着せられていた。

一度、みんなみたいなフリフリの服を着たくて母親にねだったことがある。でも母に顔をしかめられてしまった。

〝こんな服を欲しがるような子だったの?〟

甘えるのが下手な私には決死のおねだりだったので心が挫けてしまい、それきり二度と口にすることはなかった。


そんな地味子も年頃になれば恋をする。
相手はスポーツ万能でクラス一の人気者だ。私はただ密かに彼を見つめているだけだったけれど、五年生の冬、バレンタインの盛り上がりにつられその男子の机にそっとチョコを入れた。
大それた願いなんてなかった。ただ渡せただけで幸せだったのに。

でもそれは悲惨な結末を迎えた。
あっと言う間にクラス中に知れ渡った地味子の初恋は、全員の前で本人に拒否され爆笑されるという公開処刑で散った。

『ユーレイかよ! 気持ちわりぃ!』

ガリで地味で存在感のない私につけられたあだ名だ。