結婚報告パーティーから三週間が過ぎた十一月の中旬、再試験の日がやってきた。

試験に合格する自信はある。挽肉も鶏団子も嫌というほど実地で練習してきたし、鶏団子などはお客様から『今年の団子はとても綺麗』とお褒めの言葉を頂いたぐらいだ。その証拠に、今年は鶏団子の売上が好調らしい。

あと試験には関係ないけれど、私が担当している鶏むね薄切りが例年よりよく売れているという。練習を重ねて花びらのように薄くスライスできるようになり、見栄えが良いせいで手に取ってもらえるのだろうと佐藤主任は言っていた。
ただし、これらは矢部さんがいない時に伝えられる。

『矢部さんは速いんだけど雑なんだよなー。おお、噂をすればこっちに戻ってくるよ。矢部さんに聞かれたらやべぇやべぇ。……今のわかってくれた?』

佐藤主任の寒いギャグに愛想笑いを返しながら時計を見る。

試験開始まであと二時間。
彼に会えるまで、あと二時間。