腹ペコだったので、みっともないぐらいの気迫でメニューに見入る。
メニューはハンバーグのみ、一本勝負の店だった。選べるのはセットになっているライス。白ご飯とガーリックライスの二択だ。

(ガーリックライス食べたいな……)

実はかなりのニンニク好きだ。たいして料理もできないくせにガーリックポットを持っているぐらいだ。干物の利点を挙げるとすれば、遠慮なくニンニクを食べられることだろう。
だけど今はまずい。帰りの車で絶対に匂う。いや、食べている最中から匂う。

「どうしましたか?」

「いいえ」

「僕もガーリックライスにしますよ」

思わず笑顔になってしまったところで干物の嗜好を読まれていたことに気づき、顔を引き締める。

「水を取ってきます」

「あ、私も──」

立ち上がりかけた私を手で制し、彼はさっさとドリンクバーへと行ってしまった。優しいかと思えば素っ気ない。行動も言動も無駄に時間をかけないので、感情がわかりにくい人だ。