「仁科様はこのお二方のどのような点がお気に召さなかったのですか?」

「申し訳ないのですが、男性として見ることができないと感じたからです」

カウンセラーは呆れたように笑った。

「仁科様。二十代前半ならば夢をお持ちでも結構なのですが、やはり年齢とともにご自身に相応なお考えにシフトしていくことも必要です」

「要するに、価値がないことを自覚しろということですね」

「いいえ、決してそういう意味ではございません。ただ、ご自身をしっかり見つめていただけたらと」

同じ意味じゃないの。

「さきほどの質問の答えを頂けますか? 入会の基準となるのは当然ながら会員の質と量です。意識改革セミナーではなく」

もはやまったく入会の意志はないけれど、戦車と呼ばれた女としてこの戦いで簡単に背中を見せる訳にはいかない。

「仁科様。結婚において大切なことは条件ではなく、心と心が響き合うことです」

今度は私が失笑する番だった。

「ならば先ほどご指摘になった私の数々のマイナス条件も問題ないのでは? それと、質問の答えになっていません。もうだいたいわかりましたのでお答えにならなくて結構ですが」

二人の女の間で火花が散った。