「お持ちした男性は仁科様には素晴らしい条件ですよ」

〝仁科様には〟ってわざわざ入れたのは、お前など贅沢を言える口ではないと言いたいのだろう。カウンセラーは苦虫を噛み潰したような表情でさらに続けた。

「正直申し上げますと、仁科様のような学歴は男性には魅力的でないようで………。残念なことですが」

いやいやあなた、全然残念だと思っていないでしょう。

「それにお背もありますし、ご年齢もちょっと……。意識の高い方は二十代前半からご入会されていて、そのような方は引く手数多なんですよ。出産のことを考えれば賢明なことですよね」

私の額に青筋が立ってきた。でもこれ以上話を聞く必要もないのでどうやって切り上げるか考え始めたのに、カウンセラーは再び先ほどのシートを私の前に開いた。

「曇りを捨てた目でもう一度よくご覧になってみてください」

「私の目が曇っているのは置いておきまして、要するに御社の会員の中で私に提示できるのはこのお二方しかいないという意味ですか?」

論戦する価値もないとわかっているのだけど、客を下げるこのカウンセラーの〝仕事〟に対して私は頭に来ていた。