ところが、まず一人目で私の眉が曇った。
三十代後半、学歴は私と同じ。職業は公務員で安定性はある。
でも写真を見た私は硬直してしまった。これはどう見ても体重が百キロを超えているだろう。Tシャツにプリントされたアイドルのファンクラブ名が読めないほど伸びている。

続いて二人目。
離婚歴のある医師。髪はほとんどなく、年齢もルックスも「おじさん」だ。それだけならまだいいのに、相手女性への希望は「二十代」。

「いかがでしょうか? 素敵な方ばかりでしょう?」

正面からはカウンセラーがぐいぐい押してくる。

二人とも会ってみればきっとそれぞれに美点があるのだろう。
でも一つだけ確かなのは、私はこの男性たちに恋はできないと感じたことだった。

こんな所に来てそれを望んではいけないのかもしれない。結婚は夢物語ではなく、現実的には就職の一つの形なのかもしれない。

でも私はやっぱり恋をして結婚したい。それが幼稚な夢であっても、それで結果的に一生一人でいることになっても、今の私はまだ「結婚イコール恋を諦めること」であってほしくない。

〝理想の結婚って何だろう〟

私なりに整理がついた気がする。

「申し訳ありません」

シートを閉じて頭を下げると、カウンセラーの笑顔が一変した。