次の配達はメアリーおばあちゃんの家です。


だけど……私と魔王は、配達していたら、ごくまれに起こる事象に巻き込まれてしまいました。









「女ノ子ダ、美味ソウナ パン ヲ持ッテル!」


「ヒャッハー! 奪エ奪エ!」










モンスターが村に入って来ました!


パンの匂いに誘われてか、たまにこういう事があるんですよね。


今回は、ゴブリンが二匹。


走れば逃げ切れる相手ですけど、魔王の様子がなんだかおかしいです。


さっき、山岡さんに放てなかった魔力が、再び魔王の手に宿っています。


……まあ、相手は人間じゃないですし、商品を狙う極悪非道なモンスターです。


止める必要はありませんね。


「貴様ら……ワシの仕事を邪魔するとは何事だっ! 生まれて来た事を後悔させてくれるわっ!」


言うより早く、二匹のゴブリンに闇の球体を放ちます!


「エッ! ナ、何デ!? ギャピー!」


「マサカ、魔王様ァァァッ!? ギャピー!」


哀れゴブリン。


魔王の攻撃で、一瞬で消滅してしまいました。


「フン、パンを奪おうなどとはモンスターの風上にも置けぬやつらよ! 欲しければ買いに来い! 雑魚共が!」


いや、もう死んじゃってますよ!


これじゃあ買いに来れないですよね?


でも、魔王のおかげで助かりました。