その日は謝るべく麻美子に電話をかけたものの、出てはもらえなかった。

翌十六日は一講目が休講で、たまたま同じ市岡の高校を出た、鳥養という同じゼミの同期を捕まえ、講義がはねたあと新大阪まで出、駅前の居酒屋で痛飲という単語よろしく、焼酎割を十五分に一杯という、早いかどうかは分からないが、そうした速度で八杯ばかり飲み、終電近くなってようやく部屋へ戻ったのである。

この酒の席で一真は鳥養に、麻美子にどうしたら良いか質問をぶつけてみた。

するととにかく少しだけ間をあけてから謝ってみてはどうかと言った答で、一真の胸中にはいささか理解に苦しむこともないではなかったが、それでもしたたかに酒を飲んでいてまともな思考ではなかったから、取り敢えず帰ってから全て決めようと、終電ぎりぎりの電車で吹田まで戻った。