ほどなく。 吹田の避難所での一真の暮らしが始まると、スクーターを持っていた一真は薬や物資の運搬班になって、新大阪から荷物を受け取って運んだり、市役所からの食料の段ボールを運んだりするようになった。 麻美子の消息は分からないままであったが、このままフェードアウトだけは避けたいと思っていた一真は、新長田へ行けるタイミングだけは忘れずにはかっていたらしかった。