三日目が過ぎた。
自衛隊や警官が街に入り始めたらしく、少しずつではあったが、冷静さを周りが取り戻して炊き出しも始まった。
火事が収まった噂を聞いた一真は、ガソリンの切れたスクーターを三宮に置いて、湊川から新開地を抜け、兵庫の駅を抜けて新長田へ入った。
見るとあちこち火が出たらしく、焼け落ちた家がそこかしこにあって、規制線で入れない道もあったので、あちこち曲がりながら行くと、前に見たことがあった写真館があった。
この写真館が麻美子の家の目印で、ここから裏道に入ってすぐに麻美子の自宅はあるはずであった。