「今日もすごくいい練習ができた。圭吾のおかげだよ」


その言葉に驚き、俺は亮太をマジマジと見つめた。


亮太は相変わらず気持ち悪いほどさわやかな笑みを浮かべている。


「なんだよそれ、俺の方が下手くそだから、自分にとっていい練習相手だって言いたいのか?」


俺の嫌みに亮太は本気で驚いたように目を丸くしている。


「どうやったらそんな風に受け取れるんだ? 僕はそんなこと言ってないけど?」


「お前みたいな天才肌に言われたらただの嫌みになるんだよ。知らねぇのかよ」


「僕は自分のことを天才だなんて思ってない。圭吾のこともライバルだと思ってる」


亮太の言葉を俺は鼻で笑った。


「俺は土日でも練習を重ねてるんだ。お前みたいに、部活だけやっててできるヤツにライバルだなんて言われたくねぇんだよ」


俺はそう言い放ち、亮太を追い越して更衣室へと向かったのだった。