「あ、えーっと……別に、誰でもない」


そう言って苦笑いを浮かべる。


「っていうか俺、どうしたんだっけ?」


「覚えてないのか? 帰りがけにサッカーボールが頭に当たって気絶したんだ。全然目を覚まさないから救急車を呼んだ」


キーパーの説明にようやく記憶が戻ってきた。


「夢だったってことか……?」


それにしてはやけにリアルな夢だった。