「リリア、大丈夫だった?」


屋敷に戻ってきた俺に亮太が心配そうに話かける。


「あぁ……」


ぶっきらぼうに返事をして亮太から視線をそらせた。


まさかあんな風に亮太が助けてくれるなんて思っていなかった。


俺のために、あんなに必死で……。


そこまで考えて左右に首を振る。


いや違う!


亮太が助けたのは俺じゃなくてリリアだから!


しかもこいつは亮太じゃなくて、リリアのいいなづけのアランだ。


勘違いすんな!


けれども亮太の姿をカッコイイと思ってしまったことは事実だった。


もちろん男としての意見だ。


それを認めるのが悔しいから、こうして仏頂面をしてしまっているということも、自分でよくわかっていた。


なさけねぇな……。


俺はスッと息を吸い込んで亮太を見た。