その隙を見て俺は男の体を思いっきり蹴り上げた。


宙吊り状態だから大した力はでないけれど、完全に油断していた男はうめき声を上げて手の力を緩めたのだ。


今だ!


俺は続けて数発のケリを入れて、どうにか男の手から逃れることに成功した。


「クソアマ!!」


男が叫ぶと、亮太と戦っていた仲間たちが一瞬気をそられた。


「早く、こっちへ!」


亮太は俊敏な動きで俺の手を握り締め、乗ってきた馬へと走った。


「逃げたぞ! 追いかけろ!」


そんな声を後ろに聞きながら、俺は亮太の背中にしがみつくようにして馬に揺られていたのだった。