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屋敷の外の風景はまさに映画の中の世界だった。


道路は舗装されておらず、建物は基本木造らしい。


行きかう乗り物は馬と馬車がメインで、その大半が屋敷へ向かって走っていった。


この騒々しさは、マリが死んでしまったことが関係しているのだろう。


街の中を歩いている人々は女性はドレス。


男性はさっき亮太が着ていたような奇妙なスーツ姿だった。


一体ここはどういう町なんだ?


どこかから自分のいた世界に戻ることができるのか?


素足で砂を踏みしめながらゆっくりと歩く。


そんな俺を人々は怪訝そうな表情を浮かべて眺めていた。


そりゃあ素足だし。


しかもネグリジェ姿のままだもんなぁ。


とりあえず動きやすい服を買うか。


でも、金がねぇや……。


どうすればいいのか途方にくれそうになった時、前方から1人の男が近付いてきた。