俺はスプーンを掴み、飲み込むようにして大盛りカレーを平らげて行ったのだった。


……そして10分後。


俺の目の前にはほぼ空になったカレー皿が置かれていた。


おそらく二人前くらいは食べたけれど、まだまだ余裕で入る。


「もうダメだ。僕はそんなに食べられないんだよ」


情けない声でそう言ったのは亮太だった。


亮太の皿にはカレーが半分ほど残されている状態だった。


「圭吾の勝ちだ!」


サッカー部の友人が手を叩いて歓声をあげる。


「やりぃ!」


俺は椅子の上に立ち、両手を上げて笑った。


「どうだ亮太! 俺の勝ちだぞ!」


俺の言葉に亮太は一瞬悔しそうに眉を寄せた気がした。


しかし、その表情はすぐにいつものポーカーフェイスへと変わる。


「そうだね。僕の負けだよ」


亮太はため息交じりにそう言ったのだった。