「リリア! リリア!」


呼び声とともにドアが大きく開かれた。


入ってきたのはリリアの父親だ。


父親の目は充血し、頬には涙の跡がクッキリと残っている。


その父親が突然俺の足元にしがみついてきたので、ギョッとした。


「な、なんか用かよ」


「マリが……マリが……」


「あぁ……。残念だったよな。体が弱かったんだろ? ただの風邪でもあなどれねぇよなぁ」


はぁ……と、ため息を吐きだした時、父親と視線がぶつかった。


「マリは次の月曜日に隣国の王と結婚予定だったんだ」


ありゃま。


「そりゃあなんつーか……なぁ?」


事態は俺が思っていたよりも悲しい感じになっているらしい。


結婚を控えた姫が死亡。


そりゃ大騒ぎにもなるわなぁ。


見ず知らずの人間だとしても、ちょっと心が痛んでため息を吐きだした。


その時だった。