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どうやら俺には姉がいたらしい。


その姉はなにをやらしてもすぐに身に付けるタイプで、俺……リリアはそんな姉に追いつくために必死だったのだそうだ。


……なんか、俺自身みてぇだなぁ。


だけど、こっちの兄弟は体が弱く、子供頃からよく寝たきりになっていたらしい。


今回も風邪を引いて寝込んでいたのだけれど、その風邪が悪化して肺炎を併発。


結局、帰らぬ人になってしまったのだ。


「残念だよなぁ。まだ若くて、しかも超のつく美人なのになぁ」


俺は一人、部屋でブツブツと呟く。


人が一人死んだのは確かに悲しい。


とはいっても、正直俺にはほとんど関係のない人だ。


悲しむ暇があるから、とにかくこの屋敷から脱出したかった。


部屋の窓から外を確認すると、何人もの人間があわただしく出入りしているのがわかった。


みんなこの屋敷の関係者かと思うと、目がくらむ。


ここのお嬢様でいることで、これから先苦労なんてないかもしれない。


なんて甘い考えも過る。