「リリア様は普段おしとやかなな女性でございます。失礼ですが……今のリリア様はまるで別人ですわ」


首を左右に振って言われて思わず「あっ」と声を上げてしまった。


そして水に映った美少女を思い出す。


そういや、俺今は女なんだっけ……。


「あ……いや、えっと……わ、私は元気だから大丈夫! それより、なにかあったの?」


女言葉を使った瞬間吐き気がした。


なにやってんだ俺。


「そうですか……。実はマリ様の容態が急変されたんです」


「マリ? 誰だそりゃ」


「リリア様お忘れになったのですか? マリ様はリリア様の――」


アリスが最後まで言う前に、大きな泣き声が屋敷中に響き渡った。


「マリ! マリ、目を開けておくれ!!」


怒号のように聞こえてくるその声は、さっきの男性のもので間違いないみたいだ。


「何があったんだ?」


首を傾げる俺に、アリスが真っ青になった。


「マリ様は、リリア様のお姉さまですわ」


アリスはそう言い、かけだしたのだった。