「そうか。顔色もいいみたいだし、良かった」


男性は心底ホッとしたようにほほ笑む。


「お腹は減ってないかい? すぐにアリスに作らせよう」


「アリス……?」


「うちのメイドだよ。忘れてしまったのかい?」


メイドがいる家なのか!


どおりで豪華な部屋だと思った!


そう思った時、不意にお腹がグーっと音を鳴らした。


さすが俺の胃袋だ。


こんな状況にも関わらず食物を欲している。


「じゃあ、なにか食べたいな」


「もちろんだ。なにがいい?」


「ガーリックステーキ」


俺の返事に男性はギョッとしたように目を丸くした。


それから「あ、あぁ。たまにはそういったものもいいだろう。よしわかった。少しまっていなさい」と、いそいそと部屋を出て行ったのだった。