「リリア。リリア大丈夫?」


聞きなれない女性の声がした途端、俺は一気に現実へと引き戻されていた。


大きく息を吸い込んで目を開ける。


頭がひどく傷んで顔をしかめた。


「いってぇ……」


「無理をして動いちゃダメ。あなた、馬車にひかれて頭を打ったんだから」


その言葉に俺は瞬きを繰り返した。


馬車?


今、この人馬車って言ったか?


いやその前にここはどこだ?


豪華な猫足の家具やシャンデリアが見えるぞ。


「あんた……誰?」


俺は俺を覗き込んでいる女性へ向けてそう聞いた。


女性は50代くらいだと思うけれど、豪かなドレスを身に付けている。


エリザベス女王とか、その辺の人たちが来ていそうな服だ。


そして俺が寝かされているのは天蓋付きのバカでかいベッドだった。


ベッドシーツにはこれでもかってほどレースがついていて、少し動くだけでもチクチクして痛い。