人混み、人混み。
桜、桜。
美兎の目に写るのは、京都の街並みの一角に過ぎないだろうが。どこもかしこも人だらけ。
けれど、それに負けず桜の木もあちこちに植っていて、美兎の目を楽しませてくれた。
そして何より。
大好きな恋人と一緒に歩けるのだから、楽しくないわけがない。
響也の姿でいる火坑は目が合うたびに、にこにこと笑い返してくれた。
「楽しいですか?」
「はい!」
「それは何よりです。少しだけ距離はありますが、手を離さないでくださいね?」
「はい!」
絶対離さない。
離すわけがない。
好きな恋人と手を絡めて歩いているのだ。気持ちがぽかぽかして、少しくすぐったい。けど、全然嫌じゃないのだ。
「八つ橋がメインのお土産屋さんでも、軽食が食べれますが。二年坂にもあるカフェとだとどちらがいいですか?」
「調べてくださったんですか?」
「もちろん、今回の旅行のためです。美兎さんには是非楽しんでいただきたいですから」
「わ、私も調べたんですが」
少し小腹が空いたので、食べ物関係も魅力的だったが。まずは清水寺の方面にも行きたかった。
その奥には、恋縁で有名な神社があるのだ。縁結び関連で、道真がいる北野天満宮にもお呼ばれされているのでもちろん行くが。
清水寺に行くとだけは事前に聞いていたので、その周辺を雑誌やネットで調べていたら。その神社がヒットしたのだ。
ちょっとした恋まじないもあるらしいが。それはスルーしていいだろう。恋縁のお守りが欲しいだけで、恋人は既にいるのだから。
「……文化遺産にもなっている地主神社ですか? そちらに行かれたいんですね?」
「その……両想いのお守りもあるよう、なんで。お、お揃いで持てたらなあって……」
「是非行きましょう」
「はい!」
と乗り気になってくれたので、まずは参道の人混みをゆっくり進んでから清水寺に入り。
修学旅行以来の清水の舞台にも行ったが、子供の時に見た頃よりはるかに高い気がして震え上がりそうになってしまった。
その後に、地主神社に向かえば。観光客でいっぱいだったが、例の『恋占いの石』は順番待ちだった。
目を閉じて、片方の石から反対の石に向かってたどり着ければ恋の願いが叶うおまじない。
でも、美兎は大好きな恋人ととっくに結ばれているから問題ない。ある意味将来の約束をしているし、なおさら。
だから、大学生くらいの女の子が挑戦しているのを見ると、少しほっこりしてしまうのだ。
神様に会えるかわからないが、本殿でお参りしたけれど。道真や大神のように会えるわけではなかった。
お守りも希望通りのものが買えたので、それぞれ見せ合ってから無くさないようにバックに仕舞い込んだのだった。
「さて、チェックインや着付けまでまだ時間がありますね? どうします? 二年坂の先にも八つ橋のお土産はありますが、どちらで買います?」
「んー……そうですね?」
宿泊の荷物は、実は真穂が影で預かってくれると言うので、それに甘えているのだ。
だから、たくさんお土産を買っても大丈夫だが。
京都銘菓、しかも妖達へのお土産に予定している八つ橋をどこで買おうか。
結果、清水寺周辺の方が味の種類が豊富なので、二人は来た道を戻るのだった。
桜、桜。
美兎の目に写るのは、京都の街並みの一角に過ぎないだろうが。どこもかしこも人だらけ。
けれど、それに負けず桜の木もあちこちに植っていて、美兎の目を楽しませてくれた。
そして何より。
大好きな恋人と一緒に歩けるのだから、楽しくないわけがない。
響也の姿でいる火坑は目が合うたびに、にこにこと笑い返してくれた。
「楽しいですか?」
「はい!」
「それは何よりです。少しだけ距離はありますが、手を離さないでくださいね?」
「はい!」
絶対離さない。
離すわけがない。
好きな恋人と手を絡めて歩いているのだ。気持ちがぽかぽかして、少しくすぐったい。けど、全然嫌じゃないのだ。
「八つ橋がメインのお土産屋さんでも、軽食が食べれますが。二年坂にもあるカフェとだとどちらがいいですか?」
「調べてくださったんですか?」
「もちろん、今回の旅行のためです。美兎さんには是非楽しんでいただきたいですから」
「わ、私も調べたんですが」
少し小腹が空いたので、食べ物関係も魅力的だったが。まずは清水寺の方面にも行きたかった。
その奥には、恋縁で有名な神社があるのだ。縁結び関連で、道真がいる北野天満宮にもお呼ばれされているのでもちろん行くが。
清水寺に行くとだけは事前に聞いていたので、その周辺を雑誌やネットで調べていたら。その神社がヒットしたのだ。
ちょっとした恋まじないもあるらしいが。それはスルーしていいだろう。恋縁のお守りが欲しいだけで、恋人は既にいるのだから。
「……文化遺産にもなっている地主神社ですか? そちらに行かれたいんですね?」
「その……両想いのお守りもあるよう、なんで。お、お揃いで持てたらなあって……」
「是非行きましょう」
「はい!」
と乗り気になってくれたので、まずは参道の人混みをゆっくり進んでから清水寺に入り。
修学旅行以来の清水の舞台にも行ったが、子供の時に見た頃よりはるかに高い気がして震え上がりそうになってしまった。
その後に、地主神社に向かえば。観光客でいっぱいだったが、例の『恋占いの石』は順番待ちだった。
目を閉じて、片方の石から反対の石に向かってたどり着ければ恋の願いが叶うおまじない。
でも、美兎は大好きな恋人ととっくに結ばれているから問題ない。ある意味将来の約束をしているし、なおさら。
だから、大学生くらいの女の子が挑戦しているのを見ると、少しほっこりしてしまうのだ。
神様に会えるかわからないが、本殿でお参りしたけれど。道真や大神のように会えるわけではなかった。
お守りも希望通りのものが買えたので、それぞれ見せ合ってから無くさないようにバックに仕舞い込んだのだった。
「さて、チェックインや着付けまでまだ時間がありますね? どうします? 二年坂の先にも八つ橋のお土産はありますが、どちらで買います?」
「んー……そうですね?」
宿泊の荷物は、実は真穂が影で預かってくれると言うので、それに甘えているのだ。
だから、たくさんお土産を買っても大丈夫だが。
京都銘菓、しかも妖達へのお土産に予定している八つ橋をどこで買おうか。
結果、清水寺周辺の方が味の種類が豊富なので、二人は来た道を戻るのだった。