「あぁ、どうぞどうぞ、見ていって下さい」

慌ててそう応えたものの、どこをどう見学させればいいんだ? 

ここにはお前に似合うようなものは、何一つないぞ。

ほのかに薬品の臭いが漂う部屋に、読者モデルのような清潔感漂う、正攻法のイケメン高校生が立っている。

お前が見に行くべき場所は、ここじゃないだろう。

身長180㎝は越えているであろう侵入者の彼は、ぐるりと辺りを見渡した。

「普通の理科室で、活動をされてるんですね」

「あぁ、まあ。そうですけど」

山崎が「新入生ですか?」と聞いたら、彼は「はい」と答えた。

俺は部長として、活動のアピールと案内をしなければならないところだが、しまった、そこまで考えてなかった。

「今日は新歓だから、いつもならもっと色々やってんだけどな」

「エロゲーとか、格闘ゲームな」

「なにせ部員の確保に苦労してるから、仲間がほしくって」

「オンラインで繋がるから必要ねーとか言ってただろ」

「この電子制御部の部長として、やれることはなんでもやっていくつもりなんだけどね」

「部長決めじゃんけんで負けて、ごねてたくせに」

俺は山崎を振り返った。

この男は、新入生を勧誘しなければならないという大事な時に、余計なコトばかり言って足を引っ張る。

何にも分かってない。

「じゃんけんで負けて、3回勝負から5回勝負にかえて、2回やっても負けて、泣く泣く部長になったくせに」

この場の空気をちゃんと読めよ! 

俺が言い返そうとした時、その1年の彼は、俺たちを仲裁するかのように割って入った。

「今は、部員はお二人だけなんですか?」

その大人びた風な対応に、ちょっとイラっとする。