目覚めると、菫さんは横で眠っていた。
 そこで、あのまま寝てしまっていたことに気づいた。
 昨日のことが今さらのようにぶり返してきて、恥ずかしさでいっぱいだった。彼女が眠ってくれていて、初めて良かったと思った。
 平熱まで下がっていて、体のだるさもどこにもなかった。今さらだけど体臭が気になってきて、寝ている隙に僕は風呂に入り、身だしなみを整えておく。
 夕方までまあまあ時間もあるし、なにかご飯でも作ろうかな。
 菫さんも、食べてみたいと言っていたことだから、きっと喜んでくれるはずだ。
 体にも良さそうで食べやすい、雑炊でも作ろう。一度だけ作ったことはあって、だいたい覚えてはいるけど、念のためそのときに見たネットを開く。
 昆布とかつお節でだしを取っている間に、えりんぎ、舞茸、大根、人参、白菜を細かく切っていく。
 だし汁に野菜を入れて煮込み、その間にご飯を流水で洗う。そうすることで、ご飯がさらっとしておいしくなるらしい。
 それから味付けに醤油と塩を加え、溶いた卵を回し入れて完成。
 一応、味見をしてみる。
 普段はあまり料理をしないから心配だったけど、ちゃんとだしの味が染みていておいしかった。
 菫さんが目覚めるまで、カメラでも磨きながら待つことにした。
 つい、鼻歌をしてしまう。
 喜んでくれるだろうか。
 その瞬間を撮るのが、楽しみでしょうがない。
 ずっとそわそわして、にやにやしながら、菫さんの側に座って待った。