家に入るとリビングに繋がっている廊下が静まり返っている。
見れば玄関にも靴はない。
運がいい。今日は誰もいないんだ。
家で一人ゆっくりとできることが嬉しくて私は躊躇なくリビングに入る。
冷蔵庫から冷えたお茶をコップに移して飲む。
たまにはリビングのソファに座ろうかとキッチンから出るとテーブルの上に見たことのないケースが置いてあった。
そのケースは透明で中が見えるようになっていた。
「え……」
 そのケースを覗かなければよかった。
そしたら現実を見なくて済んだのに……