君と見る空は、いつだって青くて美しい




 ……でも。
 それでも。
 一度も話したことがない女子生徒たちと教室から離れたところに行くのは……。

 そう考えると……。
 この呼び出しは断った方がよかったのだろうか。

 でも、今、断ることができたとしても。
 他の方法で接触してくるかもしれない。
 昼の休憩がダメなのなら下校のときに。
 ということも十分に考えられる。

 となると。
 回避できる可能性はほとんどない。
 ということになる。

 どちらにしても。
 この女子生徒たちの話を聞かなくてはいけないときが必ずくる、のだろう。

 でも、やっぱり三対一というのは。
 何かあったときに……。


 そういうことを考えてしまうと。
 やっぱり極度の緊張と不安と恐怖は消えない。


 そんな気持ちを抱えながら、女子生徒たちの後ろを歩いていた。



 そのうちに。
 どこへ向かおうとしているのかがわかってきた。


「着いた。ここで話しましょ」


 やっぱり。

 そこは体育館裏だった。

 呼び出して話をする。
 そのときに、よくありそうな場所。


 今から。
 この女子生徒たちは何かを話してくる。

 一体何を話してくるのだろう。



「そういえば自己紹介まだだったよね」


 緊張と不安と恐怖に襲われていると。

 さっきから時々、口を開いている真ん中の女子生徒がそう言った。


「私は黒川ありす」


 その女子生徒が名前を名乗った。


 黒川ありすさん。
 印象は、お嬢様という感じ。
 顔は小さく、目はパッチリしている。
 髪の色は濃いめのブラウン。
 髪の長さは肩より長く、ふんわりとウェーブがかかった感じ。
 肌の色は白くて透き通ったような美しさ。


 そんな黒川さんのことを見ていると。
 黒川さんの両側にいる女子生徒たちのことが目に入る。

 そのとき思った。

 三人の中で口を開いているのは黒川さんだけ。

 黒川さんの両側にいる女子生徒たちは一度も口を開いていない。

 名前を名乗ったのも黒川さんだけ。