「麻倉さん」


 ……‼


 そう思っていると。
 同じクラスの山下さんが私のことを呼んだ。


 少し自分の世界に入りかけていたので。
 山下さんに声をかけられ、少しびっくりしてしまった。


「麻倉さんのことを呼んでって言われて……」


 山下さんは教室の戸の方を見た。

 私も山下さんが見ている戸の方を見た。

 そこには見たことのない女子生徒三人が立っていた。



 知らない女子生徒たちが私に何の用だろう。
 そう思うと同時に恐怖が襲いかかる。

 相手は三人。

 ということは……。
 この状況は……危険……?

 何か恐ろしいことがあっても。
 相手は三人で私は一人。


 あ……。
 でも、待って。
 ここは学校。
 そのような場所で恐ろしいことはしてこない……かな……。


 とりあえず、その女子生徒たちのところに行ってみるしかない。
 本当は行きたくないのだけど。


 いろいろな思いや気持ちを抱えながら、山下さんに「教えてくれて、ありがとう」と言って席を立った。

 そして、ゆっくりと歩き出した。

 そのとき極度の緊張と不安と恐怖に襲われていた。

 そんな気持ちになりながら、なんとか女子生徒たちがいるところに着いた。