『blue sky』の曲を聴きながら、私と真宙くんはのんびりとくつろいでいた。


「希空ちゃん」


 そのとき。
 真宙くんが私の名前を呼んだ。


「今度、一緒にどこかに出かけない?」


 一緒に……。
 真宙くんと……。


 私は女の子の友達も少ない。
 だから一緒に出かけることも少ない。

 それなのに。
 男の子と一緒に出かける。
 しかも二人きりで。

 それは。
 かなりの勇気がいる。


 だけど。
 なぜだろう。

 真宙くんとなら。
 二人で出かけることができそうな気がする。

 だから。


「うん」


 そう返事をした。


「ありがとう、希空ちゃん」


 真宙くんはとても嬉しそうな笑顔でそう言った。



 不思議。

 人付き合いが苦手なのに。

 昨日、話したばかりの真宙くんに『出かけない?』と言われて『うん』と返事をしている私がいる。

 真宙くんとならと思っているとはいえ。

 そんな積極的な自分に驚いていた。


 だけど。
 接している時間が全てではないのだと思った。

 それよりも大切な何かが、きっとある。
 そう思えた。

 そう思える何かが真宙くんにはある。

 真宙くんには何か不思議な魅力がある。
 そう思った。