お気に入りの場所。
 そこで、お気に入りの曲を聴いている。

 それは私にとって癒しの時間。
 そして心が和らぐ時間。

 そんな気持ちに浸りながら上を見た。
 今日も美しい緑の葉たちが風に乗ってやさしく揺れている。

 そんな緑の葉たちを見ながら、お気に入りの歌手が歌っているお気に入りの曲を聴いている。

 それは、とても美しい時間。
 そんな時間を私は大切にしたい。


 ……って。

 ん……?

 誰かが私の方に来る。
 そんな気配がした。

 気になった私は気配がする方に顔を向けた。


「あ……っ‼」


 驚きのあまり、それ以上、声が出なかった。


「希空ちゃん」


 そこには真宙くんがいたから。


「嬉しいな、昨日に続いて今日も希空ちゃんに会えるなんて」


 真宙くんは満面の笑みを浮かべてそう言った。


「……真宙くん、どうしてここに……?」


 驚きの気持ちが治まらないまま、真宙くんにそう訊いた。


「散歩だよ」


「散歩……?」


「うん、散歩。
 俺、時々この公園に散歩しに来るんだ。
 運動不足解消も兼ねて」


 真宙くんも時々この公園に来てるんだ……。


「そうなんだ。
 私も時々この公園に来るんだ」


「えっ、そうなのっ?
 すごい偶然っ。
 なんか、すごく嬉しいっ」


 真宙くんは純粋な子供のような笑顔でそう言った。

 そんな真宙くんを見ていると。
 少しだけ照れくさくなった。