「……男の泣き顔なんて、綺麗じゃないよ」


むしろ、情けないじゃないか。


「そんなことないわ」


伏し目がちに言って、彼女はゆっくりとネックレスを外す。


「誰だって、悲しい表情はどこか綺麗なの」


そして彼女は、外したネックレスを手に持ったまま、僕の首へと腕を回した。

不意に距離が近くなり、彼女の細くてまっすぐ伸びた髪がすぐそこで揺れる。

視線を上げれば、彼女の顔だってすぐ近くにあるのに、僕は視線を下げてしまう。

すると、僕の胸元で彼女のネックレスが微かに光った。