「ここ、どうやって解くの‥‥」

図書室で勉強を始めて15分ほどが経った頃、私はわからない問題にあたり苦戦していた。

「朱里? 帰ったんじゃなかったのか?」

「こ、黒炎くん!?」

後ろから声をかけられ驚く私。秘書さんから「静かに」と言われ「すみません」と遠くから頭を下げるジェスチャーをした。だけど、まさか黒炎くんが図書室にいるなんて意外だった。

「すぐに教室を出て勉強してたの。実はテスト範囲でわからない所があって‥‥」

「朱里は真面目だな。で、どこがわからないんだ?」

私の隣に座り、そのままこっちに近付いてきた黒炎くん。

耳に息がかかって、くすぐったい。っていうか、近すぎる! 

「ここ、なんだけど」

「ああ、それはこの公式を当てはめれば解けるぜ」

「ありがとう! 黒炎くんってもしかして家で勉強してたりする?」

はっ! この質問はまずかった。と後悔しても既に遅かった。