「朱里ー、遅刻するわよー!」

「はーい」

下(リビング)からお母さんに呼ばれ、ハッと我に返る。

「……よし! これで完成!」

部屋を出る前に、腰まである黒髪を上にキュッと結んだ。
私はスクール鞄を肩にかけ、バタバタと階段を下りて、玄関の扉を開けた。

「お母さん、行ってきます~!」

「行ってらっしゃい。お母さんも後から行くからね」

桜舞う今日は入学式。

素敵なことが起きますように……と心の中で呟きながら私は学校へ向かった。