両手をギュッと握られた。紅蓮会長は私のことが今でも好きなんだ。その気持には答えられない。けど、本気の恋だっていうのは伝わってくる。

「会長、何言って……、こんなときにでさえ朱里を口説くつもりですか?」

「……こんなときだからこそ、です。だから、僕に奪われないように彼女を守ってください、黒炎」

「当然ですよ。会長こそ、大学で単位落とすとかやめてくださいよ?」

「黒炎、誰に言ってるんですか? 僕は星ヶ丘高校の生徒会長だった男です。学校の代表だった生徒が単位を落とすわけないでしょう」

紅蓮会長は自信満々にそう答えた。私なんかが受かりはしない、すごく頭のいい大学に春から紅蓮会長は通う。けど、大丈夫。

まわりから天才だとか堅物だって言われて一目置かれても、決して努力を怠らなかった人だから。