「だって、黒炎くんと春休みにたくさんデート出来るって想像したら、それだけで嬉しくて……」

「俺の恋人は本当に可愛いな」

「……!?」

頬にキスをされた。やっぱり、黒炎くんには敵わない。

「不意打ちの上目遣いには少しクラっときたが、今の朱里のほうがお前らしいかもしれないな。余裕ない朱里のほうが俺は好きだぞ」

「むぅ……」

いつか、黒炎くんが驚くような綺麗な女性になってみせる! とひそかな決意をする私。

「って、悠長に歩いてると遅刻だな。走るぞ、朱里!」

グイッと腕を引っ張られた。

「うん!」

さすがに3年生の卒業式に遅刻はまずい。しかも、紅蓮会長の卒業なら尚更。