ややあって、ようやく落ち着いた三人は帰り支度を始めた。

 テキパキと道具を片付けているふたりに、すっかり軽くなったクーラーボックスを手にした叶海は問いかける。

「ねえ、来年もまた来ようね」

 すると、ふたりは片付けの手を止めた。そして――。

「ああ、それはいいな」

「来年はビール以外も用意しようぜ~」

「それは賛成だ。ビールは飲み飽きる……」

 ふたりがあまりにも当然のように頷いてくれたので、嬉しくなった叶海は、改めて空を見上げた。そこに広がっていたのは、触れられそうなほどの星空だ。幼い頃に見たのと変わりない美しい空。叶海が母親と一緒に都会で暮らすようになってからは、見られなくなってしまったものでもある。

 ――帰ってきて本当に良かった。

 そのおかげで、同じ流星群を三人でまた見られたのだ。

 初恋が成就するかどうかなんてわからない。

 でも、今この瞬間に感じた気持ちだけは、これからもずっと残り続けるんじゃないかと、叶海は心の底で考えていた。