それはお盆の時期に到来する、三大流星群のうちのひとつ。

 そして幼馴染み三人が、最後の夏に眺めたものでもある。

「すっごい、綺麗……!」

 叶海は満面に笑みを浮かべると、目を瞑ってなにかを願い始めた。雪嗣と蒼空はというと、あまりのことに呆然と星空を眺めながら、その場に座り込んでいる。やがて叶海は目を開けると、どこかワクワクした顔でふたりへ向かい合った。

「私、願い事したよ! ねえ、ふたりは?」

 すると、ふたりがゆっくりと横に首を振ると、叶海は意外そうな顔をした。

「あれ? しなかったの? もったいないなあ」

 そして嬉しそうに頬を染めると、ふたりに向かってこう言った。

「私、星にお願いしたの。これからも、今日みたいに三人でいられるようにって」

 すると蒼空が意外そうな顔をして、雪嗣へチラリと視線を向けながら言った。

「てっきり、雪嗣のお嫁さんになれますようにって願ったのかと思ったぜ」

「まあ……それも私の願いのひとつだけど」

 叶海は照れくさそうに笑うと、まるで翌日に遠足を控えた子どもみたいに、目をキラキラ輝かせて言った。

「お嫁さんになれるかはわからないけどさ。私と雪嗣と蒼空は、なにがあったって、いくつになっても幼馴染みだから。この先もずっと一緒にいられたら楽しいでしょ!」

 叶海の言葉を聞いた雪嗣と蒼空は、一瞬呆気に取られたようにポカンと固まった。

「……な、なに。私、変なこと言った……?」