叶海は、己の失態を悔いながら身体を起こそうとして――動きを止めた。ポカンと口を開けたまま静止した叶海に、蒼空と雪嗣は怪訝そうに顔を見合わせている。

「…………! ねえ、見て!」

 すると、叶海は突然ふたりの胸ぐらを掴んだ。そして、深く考えずに思い切り引っ張る。虚を突かれたふたりは、体制を維持することが出来ずに前のめりに倒れ込んだ。それは叶海の身体の上で、のしかかってきた成人男性ふたりぶんの重みに、叶海も潰れた蛙みたいな声を上げる。

「ギャッ……重い! どいてよ!」

「お前が引っ張ったんだろう!」

「痛ってえ~! 叶海、今日二回目だぞ、これ!」

 怒りで顔を真っ赤にしている雪嗣に、涙目の蒼空。叶海はふたりに「ごめん!」とおざなりに謝ると、興奮気味に空を指さす。

「だって、ほら!」

 するとふたりは訝しみながらも空を見上げた。その瞬間、燐光が星空を過る。それも、いくつもいくつも数え切れないほどにだ。

 雪嗣と蒼空は顔を見合わせると、ほぼ同時に言った。

「……ペルセウス座流星群」