叶海は変わったようで、まるで変わっていない。蒼空はそう思っている。
もちろん、見かけは変わっている。子どもの頃は腰まであった髪も、今はそれなりの長さで切り揃えているし、顔つきも大人びて、身体も女性らしいものになっている。
伸長は……蒼空自身が竹のようにヒョロヒョロと伸びたものだから、いまいちよく分からないけれども。時折見せる表情は、年相応だと言えるだろう。
――でも彼女の心は、俺が眩しく思っていた頃そのままだ。
なにがあっても自分の気持ちにまっすぐ。思ったことがすぐに顔に出る。両親が不仲だったのにも拘わらず、昔から悲観的な部分はなかった。天真爛漫で、思い込むと頑固な部分がある。やると決めたら周りを巻き込んでもやり遂げる。迷惑だと思われそうなものだが、不思議と上手く行くのだ。だから誰にも好かれる。そんな女の子。
蒼空は当時の自分を思い出して、くつりと喉の奥で笑った。
あの頃、幼かった蒼空はそんな叶海に憧れていたのだ。村に女の子が少なかったせいもあるのだろうが、自分とはまるで違う彼女にこっそり惹かれていた。
叶海は蒼空の初恋の相手だった。
――だから、叶海には幸せになって欲しい。
誰しも、一度想いを寄せた人間が不幸になるのは見たくないものだ。
「人間、やっぱ好きな相手と結ばれるのが一番だぜ。初恋を成就させようって、雪嗣の気を引こうとしているコイツを見てると思う」
「なら、なおさら蒼空が嫁に貰えばいい」
すると、雪嗣が顔から表情を消した。親しく思っていた神からの、やけに冷たい眼差しにドキリとする。しかし次の瞬間には、何事もなかったかのように表情を和らげた雪嗣は、どこか懐かしそうに言った。
もちろん、見かけは変わっている。子どもの頃は腰まであった髪も、今はそれなりの長さで切り揃えているし、顔つきも大人びて、身体も女性らしいものになっている。
伸長は……蒼空自身が竹のようにヒョロヒョロと伸びたものだから、いまいちよく分からないけれども。時折見せる表情は、年相応だと言えるだろう。
――でも彼女の心は、俺が眩しく思っていた頃そのままだ。
なにがあっても自分の気持ちにまっすぐ。思ったことがすぐに顔に出る。両親が不仲だったのにも拘わらず、昔から悲観的な部分はなかった。天真爛漫で、思い込むと頑固な部分がある。やると決めたら周りを巻き込んでもやり遂げる。迷惑だと思われそうなものだが、不思議と上手く行くのだ。だから誰にも好かれる。そんな女の子。
蒼空は当時の自分を思い出して、くつりと喉の奥で笑った。
あの頃、幼かった蒼空はそんな叶海に憧れていたのだ。村に女の子が少なかったせいもあるのだろうが、自分とはまるで違う彼女にこっそり惹かれていた。
叶海は蒼空の初恋の相手だった。
――だから、叶海には幸せになって欲しい。
誰しも、一度想いを寄せた人間が不幸になるのは見たくないものだ。
「人間、やっぱ好きな相手と結ばれるのが一番だぜ。初恋を成就させようって、雪嗣の気を引こうとしているコイツを見てると思う」
「なら、なおさら蒼空が嫁に貰えばいい」
すると、雪嗣が顔から表情を消した。親しく思っていた神からの、やけに冷たい眼差しにドキリとする。しかし次の瞬間には、何事もなかったかのように表情を和らげた雪嗣は、どこか懐かしそうに言った。

