「流れ星、何個見つけたか競争しよう」

「お前ら願い事決めてきたか? いっぱいありすぎて、どれから願うか迷うよな」

「蒼空、お前どんだけ欲深いんだ……」

 賑やかに話しながら、三人はごろりとレジャーシートの上に寝転がった。

 真ん中を位置取った叶海は、ワクワクしながら星空を眺める。

 手を伸ばせば、触れられそうなほどの星空だ。黒一色のように見えて、昏い中にも様々な色がある。まるで、永遠に誰のものにもならない宝石箱。それは眺めているだけで、叶海の心を擽って夢中にさせた。

 すると、雪嗣がおもむろに空を指さした。

「あれがベガ、アルタイル、デネブ」

「本当だ。夏の大三角形!」

「ペルセウス座は、大三角形から少し東の方だ。そこを中心に流星が見られる。条件が良ければ、南の方に天の川が見えるはずなんだが……」

 その瞬間、叶海と蒼空は勢いよく上半身を起こして、驚愕の表情と共に言った。

「七夕じゃないのに!?」

「彦星、乙姫に会い放題じゃねえか!」

「い、いや、あのふたりが会える機会が年に一度なだけで。天の川は普通にある」

 ふたりの真剣でどこか抜けた発言に、雪嗣はクツクツと肩を揺らして笑っている。

 すると己の発言の頓珍漢さに気が付いた叶海と蒼空は、引き攣った笑みを浮かべた。

「し、知ってたし」

「冗談だ、冗談。ワハハハ……」

しかし、そんなもの雪嗣に通じるわけがなく。益々笑いが大きくなった雪嗣に釣られて、やがてふたりも笑い出した。