龍神様の押しかけ嫁

「いつだって素直に謝れるのは、叶海のいいところだべなあ」

「そうかな……」

 優しげな幸恵の微笑みに、叶海はシュンと肩を落とした。

 そもそも相手を傷つけるような発言をしたのは叶海で、褒められるのは筋違いだと唇を尖らせる。すると、叶海と同じテーブルを囲んでいたひとりの老人が、顔をポッと赤らめて言った。

「仕方ねえべ、恋する乙女はいつだって不安定なもんだ。恋ってそういうもの」

 それは川沿いの家に住む田中みつ江だ。郷土料理研究家のみつ江は、この村の婦人たちの中心的な人物だ。うんうんとしたり顔で頷くみつ江に、その両隣に座っていたふたりも同調した。

「んだんだ。オラだって、和則さんに恋していた時は、いろんな人に迷惑かけたもんだ! 保子を何度朝方まで付き合わせたことか」

「アレは大変だったわ~。俊子ったら、ホント話が長くてな」

 続いたのは沢村俊子。和則の妻で、叶海が来るまではこの村で一番若かった。隣でしみじみと当時に想いを馳せているのは、吉村保子。例の独創的な料理の作り手だ。

 この三人と、叶海の祖母である幸恵は大の仲良しだ。といっても、龍沖村には四世帯しか残っていないので、村の女衆大集合という感じなのだが。

「好きな人のことになれば、誰だって頭がぼわっとするもんだ。気にするでねえ」

「んだんだ! 俊子ちゃんなんて、ぼんやりして肥だめに落ちたんだべ」

「あっ、あっ……。それは内緒だって約束したべや!」

 涙目で抗議した俊子に、女性たちはワッと沸いた。