それなのに、彼の存在は、ずっと叶海の心の中で生き続けている。
誰にとっても初恋は特別だ。それは叶海にとっても例外ではなかった。
好きな人と過ごした日々。貰った言葉。その時々に感じた胸のときめき――それらは生き生きと叶海の中で息づいて、何度も夢に見るほどだった。
特に、龍沖村を去ることになった春の日。
桜吹雪が舞う中で、寂しそうに笑う雪嗣の表情が忘れられない。
『俺は……どこにも行かない。ずっとここにいるから』
あの時感じた胸の痛さは、今でもありありと思い出せる。それは少しの息苦しさと共に、瑞々しい感情をいつだって呼び覚ましてくれた。
いつまでも朽ちることない想い。初恋ってなんて素敵なものだろう――。
叶海は常日頃からそう思っていた。
彼への想いは、まるで七色の光を放つ宝石のようだ。その眩いばかりの光は、叶海の心を虜にして離さない。いや、寧ろ叶海はそれに夢中になりすぎてしまった。
結果――どうもおかしなことになったのだ。
誰にとっても初恋は特別だ。それは叶海にとっても例外ではなかった。
好きな人と過ごした日々。貰った言葉。その時々に感じた胸のときめき――それらは生き生きと叶海の中で息づいて、何度も夢に見るほどだった。
特に、龍沖村を去ることになった春の日。
桜吹雪が舞う中で、寂しそうに笑う雪嗣の表情が忘れられない。
『俺は……どこにも行かない。ずっとここにいるから』
あの時感じた胸の痛さは、今でもありありと思い出せる。それは少しの息苦しさと共に、瑞々しい感情をいつだって呼び覚ましてくれた。
いつまでも朽ちることない想い。初恋ってなんて素敵なものだろう――。
叶海は常日頃からそう思っていた。
彼への想いは、まるで七色の光を放つ宝石のようだ。その眩いばかりの光は、叶海の心を虜にして離さない。いや、寧ろ叶海はそれに夢中になりすぎてしまった。
結果――どうもおかしなことになったのだ。