「……俊子、元気だべかなあ」

 すると、当時のことを思い出したのか、保子がぽつりと呟いた。

 幸恵はみつ江と顔を見合わせると、しょんぼりと肩を落とす。

 夫の和則を亡くした俊子は、今は都会にある子世帯で世話になっている。先祖代々住んでいた家は売りに出され、不動産屋の立て看板が掲げられていた。

 そのせいか、ここ最近の三人の表情は浮かない。

 幸恵とみつ江と保子と俊子。四人は龍沖村生まれ、龍沖村育ちだ。

 人生のほとんどを、四人一緒に過ごしてきたと言っても過言ではない。

 そんな四人だから、既に幼馴染みなんてものを超えている。言うなれば姉妹だ。血が繋がっていないだけ(・・)の姉妹。

 けれど、姉妹もひとり欠けてしまっては味気ない。お互いの死に水を取ろうなんて、冗談めかして話していたあの頃が懐かしい。