――ああ、世界がキラキラしている!
梅子は風呂敷包みを抱え、雪道をひた走りながら、そんなことを考えていた。
寒くて、昏くて……誰もが早く過ぎ去って欲しいと願ってやまない季節。
それが冬なのだと、今まで梅子は思っていた。
けれど、どうしたことだろう!
一面に広がる銀世界。静寂に包まれた世界は、青白い月明かりを反射して、まるで息がするかのようにちかちかと瞬いている。
梅子には、それが美しく思えて仕方がない。
頭上に輝く月が、控えめに存在を主張している星々が、雪化粧をした木々が、まっさらなどこまでも続くように思える雪原が――。
すべてが、梅子を祝福してくれているように思えるからだ。
だから、今の梅子にとっては冬が春以上に素晴らしい季節に思えた。
もちろん、それにはちゃんとした理由がある。
「龍神様、驚くべなあ」
梅子の脳裏には、先刻聞いた父親の声が蘇っている。
『そんなに言うのなら仕方ねえ。神様の嫁にでもなんでもなればいい』
――とうとう、あの頑固な父の許可を貰えた!
そのことが嬉しすぎて、梅子はふわふわと飛ぶような足取りで雪道を駆けた。
梅子は風呂敷包みを抱え、雪道をひた走りながら、そんなことを考えていた。
寒くて、昏くて……誰もが早く過ぎ去って欲しいと願ってやまない季節。
それが冬なのだと、今まで梅子は思っていた。
けれど、どうしたことだろう!
一面に広がる銀世界。静寂に包まれた世界は、青白い月明かりを反射して、まるで息がするかのようにちかちかと瞬いている。
梅子には、それが美しく思えて仕方がない。
頭上に輝く月が、控えめに存在を主張している星々が、雪化粧をした木々が、まっさらなどこまでも続くように思える雪原が――。
すべてが、梅子を祝福してくれているように思えるからだ。
だから、今の梅子にとっては冬が春以上に素晴らしい季節に思えた。
もちろん、それにはちゃんとした理由がある。
「龍神様、驚くべなあ」
梅子の脳裏には、先刻聞いた父親の声が蘇っている。
『そんなに言うのなら仕方ねえ。神様の嫁にでもなんでもなればいい』
――とうとう、あの頑固な父の許可を貰えた!
そのことが嬉しすぎて、梅子はふわふわと飛ぶような足取りで雪道を駆けた。