数時間後。ちらちらと雪が降る中、往路と同じようにバイクで走り出す。やっとスピードに慣れてきた叶海は、ひたすらバイクを走らせている蒼空に話しかけた。

「――ねえ! 私、これからどうしたらいいと思う?」

「どういうことだよ」

「このまま村にいてもいいのかな。それとも……他の場所へ行くべき?」

「そんな重要なこと、俺に訊くのかよ」

「蒼空だから訊くの!」

「……ったく」

 蒼空は小さく首を振ると、まっすぐ見つめたまま続けた。

「お前、雪嗣のことは完璧に諦めたのか?」

「……それは」

「諦めきれねえんだろ? なんだっけ、前世の女だっけか。ああ、雪嗣の野郎。そのこと、俺にも隠してやがったんだよな。ちくしょうめ。友だち甲斐のない奴だぜ」

 忌々しげに吐き捨てた蒼空は、ちらりと背中にしがみついている叶海に視線を向けて、眉を顰めた。