「どうして俺は……」

 自身の胸の中に渦巻く感情に、雪嗣は戸惑わずには居られない。

 叶海の魂が梅子に似ていることは事実だ。

 しかし、他人の空似ということもある。それだけでは、神である雪嗣が生まれ変わりを疑ったりはしない。雪嗣がそう思うのには、ある根拠があった。

『アッハハハ! 雪嗣は面白いねえ』

 叶海が笑ってくれるとそれだけで嬉しくなる。

『美味しい? 本当? やったあ!』

 作ってくれた食事を褒めるだけで、幸福の絶頂だと言わんばかりに微笑む彼女を、ずっと見ていたいと思う。

『へへ……。もっと撫でてくれてもいいのだよ』

 頭を撫でると猫のように目を細める姿も。

『酷い! 私ってば、これでも乙女なんですけど!』

 自分から悪戯を仕掛けてきた癖に、やり返すとむくれる姿も。

 雪嗣は、彼女の一挙一動が気になって仕方がないのだ。