――ああ、泣きたい。子どもみたいに大声で泣き叫びたい。

 叶海は硬く目を瞑ると、嘘であって欲しいと心底願った。

 自分が、かつて雪嗣が結婚を望むくらいに想いを寄せた相手の生まれ変わりかも知れない――。それは、彼との結婚を望む叶海にとって僥倖とも言えるだろう。

 しかし、現実はそう甘くない。

『魂』は似ている。似ているけれども、本人かどうか確認できない。

 叶海と結婚した後に、本当の梅子が現れる可能性を否定できない以上、雪嗣が求婚を受け入れることは絶対にあり得ない。しかし、梅子である可能性を捨てきれないから、求婚を断りつつも傍に置いていた。

 つまりは――そういうことなのだ。

「雪嗣ってば……残酷なことをするね」

 その事実は叶海の心を深く傷つけた。じくじくと赤い血を流し始めた心は、悲鳴を上げて叶海の胸を締めつけ続けている。

 叶海の言葉に雪嗣は顔を歪めると、唇を噛みしめた。

 まるで自分が傷つけられたと言わんばかりの表情に、叶海はやりきれなくなる。

「本当に確認する方法はないの? 他の神様の力を使ったりとかは?」

「知り合いにはもれなく声をかけた。俺が会うことも叶わないような高位の神ならばわからないが――今のところ、方法は見つけられていない」

「そっか」

 叶海は俯くと、今にも零れそうになっている涙を必死に堪えた。